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2004年11月04日

『天災と国防』

By marfua 2004年11月04日 23:52

若者はバカでもいい。だけど政治家にはもっと利口になって欲しい。 - Nao’s moblog page from Hokkaido

僕には危険を理解できずに自分探しをして自滅した若者の姿は、進む方向を見つけられずに漂うニッポン人の姿を現しているように思える。そんなニッポン人の大半に、彼を批判する権利などない。
若者の無謀は時として悲劇を生むことがあるけれど、それは前に進もうとする時につきもののリスクでもある。しかし、政治家が同じような行動をとろうとするとき、そのリスクは国を滅ぼすことだ。

んちばさんのこのエントリーを読んで、どこかで同じような文を読んだなと数日間。
本棚を探したらありました、寺田寅彦随筆集第5巻(岩波文庫) ISBN4-00-310375-0。

天災と国防 - 寺田寅彦 初出: 「経済往来」1934(昭和9)年11月

悪い年回りはむしろいつかは回って来るのが自然の鉄則であると覚悟を定めて、良い年回りの間に充分の用意をしておかなければならないということは、実に明白すぎるほど明白なことであるが、またこれほど万人がきれいに忘れがちなこともまれである。もっともこれを忘れているおかげで今日を楽しむことができるのだという人があるかもしれないのであるが、それは個人めいめいの哲学に任せるとして、少なくも一国の為政の枢機に参与する人々だけは、この健忘症に対する診療を常々怠らないようにしてもらいたいと思う次第である。

寺田寅彦は、『天災は忘れたころにやってくる』の名言を残した地球物理学者。また夏目漱石の門下生。
昭和9年のあの時代にも、日本列島を台風が襲い、日々の備えの大事を説いた人がいるのね。なのにまあ、きれいさっぱり健忘症!
そして、んちばさんも書いている通り、政治家はしっかりしてくれよぉ。

この『天災と国防』は、古い文章に慣れてない方には読みづらいかもしれないけれど、短いのであっという間に読めると思う。
文明の発達とともに天災の被害が甚大となることについての考察は、(今では不適切な表現もあるけれど)なかなか興味深いものになっています。リンク先、青空文庫よりどうぞ。



カテゴリー: 2004本
コメント

寺田寅彦の文章ははじめて読みましたが、なかなか面白いことを書いていますね。まるで今年のことを書いているみたい。
僕は仕事柄東京に行くことがたびたびあるのですが、最近のように世の中がゴタゴタしているとちょっと怖いなあと思うことが多々あります。
東京でコトが起きたら、全国に深刻な影響があることは予測できるけれど、それに対する備えが十分かといえば、やっぱりこの文章に書かれているような状況のように思いますね。

それにしてもなんだか面白そうだから寺田を少し読んでみようと思いました。

投稿者 んちば : 2004年11月05日 22:28

5月に大手町の電源が落ちたとき、夫がすごく早く帰ってきました。VPN使えないと全然仕事にならないって。
東京で大地震でもあったらどうなるんだろう・・・。

寺田寅彦は、去年の『読者が選んだ〈私の好きな岩波文庫100〉フェア』でも13位に入ってました。良いものは時代を超えて受け入れられるのね。
1巻の最初の『どんぐり』は、読むたびにちょっと泣く。テヘ。
〈私の好きな岩波文庫100〉
http://www.iwanami.co.jp/bun100/index.html

投稿者 まーふあ : 2004年11月05日 23:09